2024 バロンドール

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写真:ロイター

 1956年から毎年行われてきたバロンドールは、シーズンに最も活躍した選手に贈られるフットボール界で最も威厳のある個人タイトル。昨年はインテル・マイアミに所属するアルゼンチン代表のリオネル・メッシが史上最多を更新する8度目の受賞に輝いた。

 バロンドールを主催する『フランス・フットボール』は4日に2024年の男子賞の候補30選手を発表。EURO2024を制したスペイン代表からロドリや17歳のラミン・ヤマル、チャンピオンズリーグを制したレアル・マドリードからジュード・ベリンガムやヴィニシウス・ジュニオールらが候補にノミネートされた。

 一方で、8度の受賞を誇る昨年の受賞者メッシと5度バロンドールに輝いたアル・ナスルのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドは候補に入らず。両選手が不在となるのは、2003年以来初めてのことである。

バロンドール候補選手30名

ジュード・ベリンガム(イングランド/レアル・マドリー)

ハカン・チャルハノール(トルコ/インテル)

ダニ・カルバハル(スペイン/レアル・マドリー)

ルベン・ディアス(ポルトガル/マンチェスター・シティ)

アルテム・ドフビク(ウクライナ/ジローナ→ローマ)

フィル・フォーデン(イングランド/マンチェスター・シティ)

アレハンドロ・グリマルド(スペイン/レヴァークーゼン)

アーリング・ハーランド(ノルウェー/マンチェスター・シティ)

マッツ・フンメルス(ドイツ/ドルトムント→ローマ)

ハリー・ケイン(イングランド/トッテナム→バイエルン・ミュンヘン)

トニ・クロース(ドイツ/レアル・マドリー)

アデモラ・ルックマン(ナイジェリア/アタランタ)

エミリアーノ・マルティネス(アルゼンチン/アストン・ヴィラ)

ラウタロ・マルティネス(アルゼンチン/インテル)

キリアン・エンバペ(フランス/パリ・サンジェルマン)

マルティン・ウーデゴール(ノルウェー/アーセナル)

ダニ・オルモ(スペイン/RBライプツィヒ→バルセロナ)

コール・パルマー(イングランド/チェルシー)

デクラン・ライス(イングランド/アーセナル)

ロドリ(スペイン/マンチェスター・シティ)

アントニオ・リュディガー(ドイツ/レアル・マドリー)

ブカヨ・サカ(イングランド/アーセナル)

ウィリアム・サリバ(フランス/アーセナル)

フェデリコ・バルベルデ(ウルグアイ/レアル・マドリー)

ヴィニシウス・ジュニオール(ブラジル/レアル・マドリー)

ヴィティーニャ(ポルトガル/パリ・サンジェルマン)

ニコ・ウィリアムズ(スペイン/アトレティック・クルブ)

フロリアン・ヴィルツ(ドイツ/レヴァークーゼン)

グラニト・ジャカ(スイス/レヴァークーゼン)

ラミン・ヤマル(スペイン/バルセロナ)

スペイン人史上3人目のバロンドール受賞

 10月28日に2024年のバロンドールが発表され、マンチェスター・シティのスペイン代表MFロドリが初の栄冠に輝いた。

 28歳のロドリは、マンチェスター・シティでプレミアリーグ、クラブワールドカップ優勝を果たし、スペイン代表ではEURO2024で最優秀選手に選出され、優勝に大きく貢献した。出場した64試合で負けたのは1試合のみ。2023-2024シーズンのFAカップ決勝でマンチェスター・ユナイテッドに敗れるまで、クラブでは74戦無敗という記録を打ち立てた。

 守備的MFとしては1990年に受賞した元ドイツ代表ローター・マテウス以来、スペイン人としてはアルフレド・ディステファノ(1957、1959年)、ルイス・スアレス(1960年)に続き史上3人目の快挙となった。

 一方、受賞が有力視されていたレアル・マドリードのヴィニシウス・ジュニオールは、昨季自己最多の24得点を記録し、ラ・リーガ制覇とチャンピオンズリーグ制覇、スーペルコパ・デ・エスパーニャ制覇の三冠に貢献。さらにCLでは準決勝や決勝でもゴールを挙げ、大会MVPも受賞したが、バロンドールを受賞には至らなかった。

レアル・マドリードの授賞式不参加

 28日にパリで行われる予定のバロンドール授賞式だが、レアル・マドリーは同地に赴く飛行機をキャンセルした。受賞本命とされたヴィニシウスやそのチームメートを含めた、クラブ関係者50人で乗るチャーター機を予約していたとのことだが、直前になってフライトを取り止めた。レアル・マドリーはヴィニシウスでなければ、ラ・リーガ&チャンピオンズリーグのほかスペイン代表としてEURO2024優勝も果たしたダニ・カルバハルが受賞すべきとの考えだったようだが、その可能性もなかったことに憤慨している模様。クラブ内では「バロンドールとUEFAはレアル・マドリーに敬意を持っておらず、レアル・マドリーは敬意を持たれない場所にはいない」

 『アス』曰く、今回から『フランスフットボール』誌を保有するメディアグループのアムリに、共催としてUEFAが加わったバロンドールは、これまでと違って受賞者が事前に漏れ伝わることが一切なく、レアル・マドリーもフライト直前になってからヴィニシウスが受賞しないことを知った。マドリーはこれに激しく憤り、クラブの渉外部門の代表者であるエミリオ・ブトラゲーニョ氏を含めて、全員で授賞式を欠席することを決めたとのこと。レアル・マドリードは「リスペクトされないところには行かない」と声明を発表。年間最優秀クラブ賞に輝き、カルロ・アンチェロッティ監督も年間最優秀監督に選ばれていたが、マドリーの関係者は誰も出席しないという異例の事態となった。

 ラ・リーガのハビエル・テバス会長は「礼儀が欠けていた。これは彼らの象徴であり、彼らのアンセムの一部でもある」「その姿勢は理解できない。幼稚な態度であり、感情的になったと言ってもいい。フランス・フットボールや長年続いている賞に疑問を投げかけ、UEFAがヴィニシウスに授与しないように影響を与えたと言うのは、礼儀を欠いている」「全てが自分たちを中心に回っていなければならないと考えている至上主義の振る舞いが見られる」とコメントしている。

 授賞式後、主催者側の『フランス・フットボール』の編集長を務めるバンサン・ガルシア氏は「今年、勝者と受賞者は通知されないことになっていた」と明かしており、事前に報道されてしまったビニシウスにとっては、受け入れ難いが、授賞式不参加の判断は容認されるものではない。

ロドリのコメント

ロドリは受賞後、「きょうは私の勝利ではなく、スペインサッカーの勝利で、(アンドレス・)イニエスタ、シャビ(・エルナンデス)、イケル(・カシリャス)、セルヒオ・ブスケツなど、この賞を獲得していないが受賞に値する多くの選手の勝利だ。これはスペインサッカーとMFが手にしたものだ」と先達をたたえた。

ジョゼップ・グアルディオラのコメント

 マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督がバロンドール受賞のスペイン代表MFロドリを称賛した。「まずは彼と家族や友人の全員におめでとうだ。これは彼にとっても、シティの全員にとっても、そしてファンにとっても素晴らしいニュースだ。我々は彼のことを心から誇りに思う。初めてのことだしね」 また、ロドリの堂々たるスピーチにも感動。「素晴らしかったよ」とし、「彼は家族、シティ、そして特に過去10年間のスペインフットボールについてを語った。私は完全に彼の意見に賛成だ」と述べた。

 レアル・マドリー勢の式典不参加については、「何も言うことなんてないよ」「彼らが来たいなら素晴らしいし、そうじゃないならそれでも構わない。我々はそれをジャッジするためにいるわけじゃない。各々のクラブが自分で決めるんだ」

バロンドール最終順位

順位選手クラブ
1ロドリマンチェスター・シティ
2ヴィニシウス・ジュニオールレアル・マドリード
3ジュード・ベリンガムレアル・マドリード
4ダニエル・カルバハルレアル・マドリード
5アーリング・ハーランドマンチェスター・シティ
6キリアン・エンバペレアル・マドリード
7ラウタロ・マルティネスインテル
8ラミン・ヤマルバルセロナ
9トニ・クロースレアル・マドリード
10ハリー・ケインバイエルン
11フィル・フォーデンマンチェスター・シティ
12フロリアン・ヴィルツレヴァークーゼン
13ダニ・オルモバルセロナ
14アデモラ・ルックマンアタランタ
15ニコ・ウィリアムスアスレティック・ビルバオ
16グラニト・ジャカレヴァークーゼン
17フェデリコ・バルベルデレアル・マドリード
18エミリアーノ・マルティネスアストン・ヴィラ
19マルティン・ウーデゴーアアーセナル
20ハカン・チャルハノールインテル
21ブカヨ・サカアーセナル
22アントニオ・リュディガーレアル・マドリード
23ルベン・ディアスマンチェスター・シティ
24ウィリアン・サリバアーセナル
25コール・パーマーマンチェスター・シティ
26デクラン・ライスアーセナル
27ヴィティーニャパリ・サンジェルマン
28アレハンドロ・グリマルドレヴァークーゼン
29マッツ・フンメルスドルトムント
29アルテム・ドフビクローマ

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