ドイツvs日本 国際親善試合

その他
写真:@jfa_samuraiblue

 2023年9月9日現地時間 20:45(日本時間10日 3:45)にドイツ(世界ランキング15位)vs日本(世界ランキング20位)の国際親善試合が行われた。

 2022年11月23日に行われたカタールW杯グループステージ以来の対戦となる。会場はドイツのヴォルフスブルグにあるフォルクスワーゲン・アレーナ。

ドイツ代表との対戦成績

・過去の対戦成績:1勝1敗1分(4得点6失点)

2004年12月16日●0-3キリンチャレンジカップ2004
(日本/横浜)
2006年5月30日△2-2国際親善試合
(ドイツ/レヴァークーゼン)
2022年11月23日○2-1カタールW杯グループステージ
(カタール/ドーハ)

スターティングメンバー

試合結果

 ドイツはカタールW杯以降、国際Aマッチ5試合で1勝1敗3分けと苦しい状況が続いており、ハンジ・フリック監督の去就も危ぶまれている。今回の一戦に向けてイルカイ・ギュンドアンが新主将に就任。

 立ち上がりは、お互いに高い位置からの守備で好機を作り出そうとする。試合は早々の11分、左右の揺さぶりから右サイドから菅原のクロスに伊東がニアで合わせたボールがリュディガーの足に当たるもゴールへ。日本が先制する。

写真:@jfa_samuraiblue

 ドイツも19分に左サイドからのパスをバイタルエリアで受けたギュンドアンからフロリアン・ヴィルツに渡り、ボックス右に走り込むサネへ。最後はサネが左足でシュートを流し込み、ドイツが試合を振り出しに戻した。

 追いつかれた日本だったが、22分に冨安の展開から、右サイドで伊東、鎌田、菅原とボールがつながり、再び菅原のクロスから伊東が右足で狙うがミートできず、しかし、流れたきたボールに反応した上田が決めて勝ち越す。

 その後は、サネの対応に苦慮する場面もあったが、前半を通して日本が試合をコントロール。40分には前線でのボール奪取から上田がテア・シュテーゲンとの一対一を迎えるが、決めきることはできず、2 – 1で前半終了。

 後半、菅原と三笘をウイングバックに配した5 – 4 – 1に変更。重心を下げ、カウンターから攻撃を狙う。後半立ち上がりには伊東のボール奪取から日本に決定機が訪れるが、上田のシュートはまたしてもテア・シュテーゲンに阻まれる。

 重心が後ろになったことで押し込まれる時間が増えると、日本は鎌田と上田に代えて、谷口と浅野を投入。谷口を最終ラインの中央に据え、三笘を一列前に。対するドイツもエムレ・ジャンとニコ・シュロッターベックを、パスカル・グロスとロビン・ゴセンスに入れ替えより攻撃的に。しかし、決定機は日本に。70分、カウンターから裏に抜け出した浅野がボックス左に侵入してフィニッシュまで持ち込んだが、またも、テア・シュテーゲンに阻まれる。

 ドイツはさらに、ハフェルツとヴィルツに代えてトーマス・ミュラーとユリアン・ブラントを送り出し、日本は伊東と守田に代えて久保と田中を投入。終盤には橋岡と堂安も入り、チーム一丸となってドイツの反撃を凌ぐと、90分に前線でボールを奪った久保がドリブルで持ち運んでGKとの2対1でパスを選択、浅野のゴールをお膳立て。

写真:@jfa_samuraiblue

 さらに92分にも久保のクロスから田中がヘディングシュートを決め、日本が敵地でドイツに1 – 4で勝利した。

写真:サッカーダイジェスト写真部
ドイツスコア日本
0 – 11分
伊藤 純也
19分
レロイ・サネ
1 – 1
1 – 222分
上田綺世
1 – 390分
浅野拓磨
1- 490+2分
田中碧

試合後コメント

ドイツ

ハンジ・フリック監督

 「まず第一に、日本が良いチームであることを認識しなければならない。今の私たちには、あのようなコンパクトなディフェンスを突破する手段がない。試合の入りは良かったが、日本は最初のチャンスをゴールにした。選手たちは何度も何度もトライしたが、個々のミスもあった。相手はそれを利用し、勝利に値した。」

 「今日は、このチームに勝てる状態ではなかったとハッキリ言わなければならない。日本人は皆、高度なトレーニングを積んでいて、基本をしっかり身につけている。私たちドイツサッカー界は、目を覚ましてこれらのことに取り組まなければならない。今のところ、それは助けにならない。それでも、フランス戦に向けてしっかり準備するつもりだ。失望が大きいのは明らかだし、批判も理解できる。私が言えるのはそれだけだ。」

 「サッカーには力関係があることは承知しており、なにが起こるのか予測することはできない。しかし私としては、チームが良い準備ができるようあらゆる努力をしている。」

 「我々は良い仕事をしているし、自分が適任だと思う。」

写真:Getty Images

キミッヒ

 「結局のところ、当然の敗戦だった。」

 「後半は前線に何もなかった。試合の入りは良かった。後半は明らかに迫力が欠けていた。望んでいないわけではないが、自分たちのクオリティをピッチで発揮できていない。自信がない。不安やミスが多いから、日本のような守備の堅いチームとの対戦では問題が生じる。彼らにダメージを与える手段はほとんどない。」

 「『僕たちには多くのクオリティがある』いつもそれを口にはするが、それを目にする機会があまりに少ないのも事実だ。ワールドカップ以降、僕たちはいい試合をしていない。僕たちは僕たち自身のクオリティに疑問を抱かなければならない。」

テア・シュテーゲン

 「我々は良い試合をしなかった。良い場面はあったが、愚かな2点目を許してしまった。犯すべきでないミスを犯したんだ。完全に自己批判的であり、良いプレーができなかった。」

 「監督のせいにするのはいつも簡単だが、我々選手はピッチに立っていて、その結果には責任が伴う。ピッチ上には非常に良いチームがいて、もっと上手くやれたにも関わらず、我々はそうしなかった。」

 「これが最終的な結果だ。今のところ、ピッチ上で上手くやることができていない。我々はピッチ外でも素晴らしいチームを持っている。だからこそ、ピッチ内でなぜ力を発揮できないのか、僕にとっては疑問だ。それこそが、僕たちにとってもう一つの大きな痛手だよ」

イルカイ・ギュンドアン

 「正直、日本の方が良かった。彼らはボールを走らせ適切なスペースを使いプレーし、ゴールを奪った。」

 「個人のミスがあまりにも多かった。」「今日のようなチームと、同じレベルにないことを認めなければならない。今のところ、私たちには十分な力がない。」

日本

森保一監督

 「前半途中に3バックにするプランも準備していましたが、できるだけ4バックで相手の揺さぶりに対して、難しい対応に選手がチャレンジしてくれた。W杯後の新チームで4バック、3バックもできることをドイツという強豪相手に、オプションを増やせるチャレンジをしました。カタールのW杯同様、難しい揺さぶられる失点もありましたけど、選手たちが下を向かずに失点1で前半戦ってくれ、チームの今後の成長につながるチャレンジができました。」

 「理想はすべてボールを握ること。ただ、守から攻でどれだけチャンスを作れるか」「支配率だけでなく、相手を難しくするチャンスを作れたと思っています。支配率を上げたいですが、まずはゴールに結びつくチャンスをどれだけ作れるかが大切だと思っているので、選手たちが賢く戦ってくれました。前半握る部分、後半より守備、失点を抑えて攻撃に移っていく、賢くしたたかにというところを選手たちが使い分けてしてくれたことはチームの自信になると思います。」

  「チャンスはまだあった。どん欲にさらに決められるようにすることは要求していきたい」「ただ、まずは勝つことが大切。ドイツのホーム、完全アウェイの中で、内容としても自分たちがやろうとすることをチャレンジできたこと、まず勝利できたことは、選手たちを称えたいと思います」「この戦いもドイツの選手もポジションを変更して、戦術的なトライをしていたと思います。W杯終わってから3、6月と色んなオプションを試しながらこの戦いに臨んできたことを踏まえると、勝利を自信につなげなければいけないですが、勝利だけを喜んで、自分たちの成長をストップさせてはいけない。強い相手がチャレンジしながらEUROに向かっていることは見習わないといけないと思います。」

 「チームは生き物。調子の波がある中、ドイツは非常に難しいプレッシャーのかかる状態での試合だったと思います。ただ、相手は別にして、我々がチャレンジすべきところ、選手が攻守にミスを恐れず、個々の局面で、そしてチームとして連携・連動した戦えたことは、今後の自信や成長につながると思います。今日は難しい試合、激しく厳しい試合になるというところ、選手たちの普段自分たちがやっていることに自信を持って、同じ目線で臨んでくれたこと。勝ったとしても、負けたとしても、自分たちがどういうチャレンジができるかというプロセスがある中、スタートから勇気を持って戦えたことが、今後の成長につながると思います。」

 守備では板倉滉と冨安健洋が奮闘。森保監督は「コンパクトな戦い、全員攻撃、全員守備を目指す中、押し上げ、相手の攻撃に対応するところ、全体をコントロールしてくれました」「2人だけでなく、チーム全体の守備の意識、戦い方の意識が共有されていたところが、チームとして結果に結びつきました。この戦いにあたり、コーチ陣がドイツの親善試合をしっかり分析してくれ、その中でどういった対応をするかを、コーチ陣がミーティングで落とし込んでくれたことで、選手がクリアにプレー選択できました。チーム全体の準備がスムーズな戦いにつながりました。」

 「選手が凝り固まった一つのアイデアだけでなく、試合の状況、相手の状況によって、より相手の良さを消す、相手の隙、ウィークを突くことを選手たちが賢く、試合のなかで対応力・修正力をもって、良いコミュニケーションから結び付けてくれたと思います。分析チームが相手の傾向と我々の対策で、選手がクリアになるいい準備をしてくれたと思います。選手ももちろん、テクニカルスタッフ、コーチ陣の『自分たちが何をやらないといけないか』の整理が素晴らしかったです。今日勝ちましたが、これが最高なところではない。まだまだ上を目指して成長しないといけない。成果と課題が確実にあるなか、課題に目を向け、成果はさらに伸びていけるように、気を引き締めて取り組んでいきたいです。」

上田綺世

 「跳ね返りを詰めたゴールになったけど、常に準備していたので取れたゴールだったと思う」「ゴールのタイミングもそうだし、取り方も含めて、多少は日本代表の結果に貢献できたかなという実感がある。」

 「もちろん僕の武器は動き出しだけど、ああいう相手に長距離を走って背後を一発で取って点を取るというのは現実的じゃない部分もある。いまはそうじゃないところもチームでトライさせてもらっていて、ポストプレーもそう。今までのプレースタイルよりもポストプレーをしながらサイドで高い位置を取らせて、そこからゴール前の動き出しを生かしたり、ポジショニングでああいう得点につなげるというのが少し形になったのかなと思う。」

 また前半には、決定機がテア・シュテーゲンに阻まれる場面もあったが、「相手のキーパーは世界のトップトップだったし、そういう相手にああいうシーンを作れたというのは僕としてはすごい嬉しい」「ああいう相手に当たり前に決めなきゃいけないので、まだまだだなというのを感じつつ決められる自信をつけていかないといけない。」

 「W杯もそうだし、W杯予選もW杯の出場が決まった時も、僕自身はその場にはいた。ただ正直自分が何かに貢献したり、自分が何かできたという感覚が全く得られなくて、僕は正直、ほぼいただけだった。W杯のドイツ戦もスペイン戦もそうで、コスタリカ戦も前半で代わっていた。そういった中で今日の試合は違う感覚、違う実感を得られたなと。自分の中での達成感を含めて多少はあります。」

 「ただ、もっとチームを楽にすることができたし、最後タケとかフレッシュな選手がゲームを終わらせてくれたけど、もっと早く終わらせることができた。前半で決めていればチームも僕ももっとスムーズにプレーできた。まだまだFWとして鋭さが足りないなと痛いほど実感している。」

伊藤純也

 先制点の場面について振り返り「誰かがニアに走らなきゃいけないと思うし、自分がクロスを上げる時もニアに入ってきてほしいと思う。あの時は自分がニアに行って、由勢からニアにボールが来てうまくゴールになればいいな。」

 ドイツ代表相手に連勝となったことには「こういうチームと対等にやらないといけない。勝ったのは自信になる。」「こういう試合を続けないといけない。」

 また、冨安健洋にも言及。「やっぱり安定感があるし、何度も危ないピンチを防いでくれた。今日の試合で一番良かったんじゃないかな。」「攻撃の部分でもうまく落ち着いてポゼッションできるので良かったと思う。」

写真:@jfa_samuraiblue

三苫薫

 「前半と後半で戦い方は全く違ったけどうまく適応しながら、相手の嫌なことをしながら、前半は少ないチャンスでも決められたので主導権が取れた。」

 個人のパフォーマンスについては「90分出たかったけど、相手の嫌がることをやろうと考えていました。キミッヒのところでもっと裏に抜ける回数があればよかったですけど、何回もやられたわけでもないと思うので。僕が決めればもっと違う展開になったけど、その時の力みもあったので改善できると思う。」

 「個人としてはもちろん結果を出したかったけど、結果が物語っていると思うので、その上で評価してもらえれば。」

 W杯に続くドイツへの勝利には、「大きな自信になった。」「ドイツの状況もあまりよくない中での戦いなのでそこも評価になる。」「それでも力のある選手はたくさんいる。局面、局面で負けなかったし、戦い方も自分たちの方が優れていたと思う。」

守田英正

 「正直試合の入りは良くなかった。」「どれだけ上手い選手でも1、2回のミスだったり、そういうのは生まれてしまう。そこでやめないことだったり、他の選手がカバーすることが、チーム力として大事だと思います。そこは保険というか、そういう気持ちでプレーしました。」

 「最初、ゴールキックやビルドアップのところでうまくいかないところがあったんですけど、それでもボールを繋ぐことをトライできたというのは、一つ今までなかった部分かなと思います。そういうサッカーだったり、雰囲気の中でちゃんと勝ち切ってハーフタイムを終えられるというのはワールドカップと違って、一つまた成長した部分かなと思います。途中交代の選手も活躍して、点差を広げて勝ち切れたことはすごくいい試合だったんじゃないかなと思います。」

 W杯に続いてのドイツ代表相手に連勝となったことには「もちろん勝負できるというか、勝ちたいというよりかは、勝てるっていうぐらいの気持ちで臨んでいたと思いますし、それぐらいの選手たちが揃っている。先入観なく、シンプルに対ドイツというところで、あまり深く考えないで試合ができたんじゃないかなと思います。」

 一方、守田は自身のパフォーマンスについては成果と反省点の両方を口にしている。「ちょっと前に奥行きを作ることを目的にやりました。大地がアンバランスなポジションとったりとか、あとは僕が上がったときに洋輝が内側を取ったりとか、そういう誘導的な動きが一応できたのでそこは良かったなと思いつつ。僕個人としてはちょっと前に入りすぎたが故に、背負った状態でボールを受けたり、ロストの部分も含めて増えてしまったので、個人的にどうなのかなというところはあります。」

 「キミッヒにちょっと持たれてしまうなっていう感じありました。でもズルズル近づかずに最低限のラインは一応決められてはいたんで。あとは洋輝が2対1の状況をうまく対処してくれたのと、ヴィルツがちょっとフリーランで斜めに入ったときに、冨安とうまく声をかけて受け渡しできたので良かったんですけど。失点シーンのときだけ僕がちょっと誰もマークを捕まえきれなかったので、そこはもう個人的な判断でいけばよかった。」

大迫敬介

 ドイツ戦での先発を知ったのは戦術練習がスタートした試合2日前。「二度見しましたね。もちろん代表に来ているからにはスタートをずっと狙って準備していたので、驚きはなかったと言いたいけど、驚いたのが正直なところだった。」

 それでも「2日間あったからこそ心の準備や頭の整理ができた」「トライする中で逃げるのは簡単。難しい状況だったけど、このピッチ、雰囲気でトライすることに意味があると思っていた。」

 立ち上がりには自身のパスミスから相手にボールを奪われ、守田英正の間一髪のクリアに救われる場面もあった。それでもトライする姿勢は失わず、時間を追うごとにキックの判断も向上。最後は相手のクロス攻勢に対し、安定したキャッチングで何度も立ちはだかった。
 「紙一重のシーンが多く、日本ではあまり想像できないところからボールも飛んできた。自分も工夫したけど、面白くて楽しめる90分だった。ゴールを守るのが仕事なのでゴールにへばりつくのも1つだけど、自分のスタイルはそうでなく前に出て守備範囲の広さだと思うので、試合前にGKコーチからもいつも通りの持っていく感覚を出せと言われていた。」

 ドイツという世界的強豪とのしびれる戦いを経て、「内容はすごく良かったと思う。やりたいことができたし、つないだ中での得点もできた。良い感覚で試合ができた。」「与えられた時に結果を出すことと、ビルドアップなどではトライしながら成長していければ。」

冨安健洋

 「ディフェンス陣はしっかりとコンパクトに保つ意識を持つこと。あとは、ディフェンスライン4枚に対して前線5枚いて、数的不利になることはわかっていたので、そこの横のスライドを早くするっていうところは練習から意識してやっていました。」

 「前半はどうしても4対5なので、ザネのところに入って、押し込まれる展開っていうのもありました。このまま4枚でずっと90分やるのはちょっとしんどいかなっていう風にも思って、その中で5枚に変えて、ちょっと落ち着いたというか。その中でも得点を取りに行くよとは言われてたんで、しっかりと狙いがはまった90分だったかなと思います。ゲーム展開によってうまく変えれたかなって思います。しっかりと状況を見て変えて、今日はただ変えたわけではないっていうのは言っておきたいですし、それはやっぱり森保さんの采配がうまくはまったんだろうなと思います。」

 また、先制点と勝ち越し点の起点となった冨安。「奪ったボールを前につけて攻撃に行くところは僕たちの狙いの一つというか、スタッフ陣から言われてるプレーでありましたし、それをうまく表現できたかなと思います」「ただ、まだまだ奪ったボールを失う場面というのもありましたし、奪ったボールをいかに前なのか、それとも密集地帯から逃がして逆サイドなのか、もちろんうまく逆サイドに展開して落ち着かせることができたときもありましたけど、まだまだそこは100点ではないので、まだ改善できるところはあるかなと思います。」

 「今誰がフリーなのかっていうところを全員が共有して、その人を使うには一瞬のタイミングを合わせないといけない。そういったところはまだまだチームとして改善できるところがあるかなと思っています。でもその中でもそれができない時もあるので、その中で綺世の能力を使うことも必要。今日は捨て球になることが多く、蹴るにしてもちょっと質が伴ってなかった。そこはもうちょっとやっていく必要があるかなと思います。」

  ケガの影響でカップカタールW杯以来の代表復帰ということもあり「価値を証明することでしかないですし、それは僕だけじゃなく他の選手も含めて。代表から離れていたぶん、存在感が薄れていたというか、忘れられていた存在でもあったと思うので、そこをまた、欠かせない選手だっていうことを示す必要がありましたし、それは周りに対してもそうだし、自分に対してもそうだし。なので、しっかりと集中してやることはできたと思います。」

遠藤航

 「僕が子どもの頃はドイツが優勝とかをしているのを観ていて、『ブラジル強い』、『オリヴァー・カーンすげぇ』みたいな感じになっていて。そういう『ドイツ強い』みたいなイメージというのは、子どもの頃にそういうのを観ていると純粋に思ったりはするので。」

 今回、ドイツに勝利したことで「今の子どもたちは日本がドイツに勝てると思って、そういう純粋な気持ちは、たぶんこれから大人になってサッカー選手になった時にすごく大事。」

 「今の子ども達は、『今の日本代表はW杯を目指してやっているんだよね』という思いを持つようになる。純粋に大人になった時に、日本代表に入ったらそういう思いは心の底から思ったりすることができると思う。自分がキャプテンになった時にW杯で優勝するという話をしたのは、そういう意図もあったりします。」

田中碧

 ヘディング弾は「人生で初めて」右膝内側じん帯断裂の治療を経て、3月以来の代表復帰でゴールを決めた。「タケがいいボールをくれた。決めるだけではなかったですけど、うまく入ってくれて良かった。」

 カタールW杯大会で2 – 1で逆転勝利したドイツに勝利したが「これがノーマルにしていかなきゃいけない。喜んではいますけど、ロッカールームでもW杯と比べたら特別喜んでいる選手もそんなに多くない。こういう相手に普通に勝っていくのがこのチームのスタンダードになっていく。そこに関しては僕も早く追いつかなきゃいけない。スタメンで出られるような力をつけなきゃいけない。」

写真:サッカーダイジェスト写真部

板倉滉

 「ドイツ相手に、W杯とは違った戦い方で、守備しながらも攻撃的に、ラインを常に高くできた。トミのカバリングの高さは試合を通じて助かっていた。」カタールW杯とは異なり、ボールも保持し、ドイツと対等に戦った。「トミともよく話すが、もっと上で戦うためにも、W杯より、もっとトライして対等に戦わないといけない思いもあった。トミと一緒に組めて、ドイツ相手にポジティブなトライができた。」W杯との違いに「4-1だからね」と笑い「なおかつ、ドイツ相手にトライできたのはポジティブ。こういう相手とどんどん戦って勝っていかないと思っている。」

浅野拓磨

 「ゴールは取りましたけど、9.5割タケのゴール。タケさまさま」と苦笑。「僕もチャンスがあったので。GKに阻まれましたけど、そこで決めきる力を付けていかないとと思いました。」

 W杯のドイツ戦は引いて守り、カウンターで競り勝ったが、今回はしっかりボールを保持し、後方から組み立て互角に戦えたことについては「みんなメチャクチャうまいと感心するぐらい、自信を持ってプレーできていた。そこがまた、W杯の時とまったく違った戦いになっていた。みんな、自チームでやっていることが、間違いなく力になって、日本代表のための力になっていると感じます。」「日本もシンプルに、個々の力が上がってきている。ドイツは個の力が優れているが、一人一人が勝負できる土台にのってきているのは感じますね。」

写真:@jfa_samuraiblue

久保建英

「15分という短い時間だったけど、結果を出せたので良かったかなと思います。普段僕の試合を見ていない人も調子いいなと思ってくれたと思う。」

日本代表の戦い方については「いくらドイツが最近良くなかったとはいえ、しっかり対策もして、僕たちのプラン通りに引き方もW杯の時とは違って、勝っているからカウンター狙いで引くというヨーロッパのトップレベルのクラブがやるような、戦術としての引きだったと思う。なすすべなくという感じではなかったので、すごい良いゲームプランで進められたと思います。」

ラスト15分ほどからピッチに投入された久保。「100%僕は先発で出ると思っていたので、正直にガッカリした。」「それだけ競争が高いというふうにポジティブに捉えようと自分に言い聞かせてなんとか頑張ってきた。」

2アシストという結果を残したことに対しては「自信があるからあのプレーもあそこで余裕があってアシストしたし、自信があるから少ない時間でも積極的に前に仕掛けようと思っていたし、チャンスはあの2回くらいしかなかったと思うので、それを2回とも結果につなげられたのは良かった。」

「自信になるというよりは、当たり前だと思っているのであれくらいは。むしろ、これで久保が先発で出ていたらもっと楽な試合展開になっていたんじゃないかとみんなに思ってもらえていたら僕としては満足ですね。」

「今回もしっかり結果を出して、次も結果を出して、僕の自信が正しいというか、過信じゃなくて実力があるんだよということを結果で示していけば良い。」

「当然ベンチスタートで悔しいという気持ちはあったし、日本代表がすごく良い試合をしていたので、”ここに俺がいたらもっといい試合ができた”と思っていました。それは僕以外の誰しも思っていることだと思うので、そういった意味で出た時に結果で示すしかないなと。結果で示せて良かったです。」

本田圭佑

 「日本が昨年のW杯に続き、ドイツに連勝した。これは本当にすごいこと。日本は、次のレベルに到達したと思う。日本代表、本当におめでとう」(X(旧ツイッター)より)

その他

イタリア紙”Gazzetta dello Sport”

 「ドイツがとんでもない大打撃、日本に4失点!」「ヴォルフスブルクで信じられないことが起きた。」「日本がヴォルフスブルクでドイツ相手に記録した4-1は、今後長らく記憶に残ることだろう。」

 「日本に1-4で敗れ、ドイツサッカーの弱体化が明らかとなった。何かを変えなければ、ドイツで開催されるEURO2024においても失敗に終わるだろう。」と指摘。解任されたハンジ・フリック監督については「日本戦の失態は致命的だった。」

イタリア紙”Tuttosport”

 「ドイツが直近5試合で4敗目…日本がポーケル(1試合で4得点)」の見出しで報道。「アジアの代表チームとの親善試合でなぎ倒された。ホームで日本に物議を醸す敗戦」

イタリア”Sky Sport”

 「ドイツはますます危機に陥った。サムライブルーが2-1で逆転勝利を収めたW杯初戦よりも厳しい教訓となった。」

 一方で、試合終了間際に浅野拓磨と田中碧の追加点を演出した久保建英の活躍は、「2アシストを記録したクボが決定的だった。」今シーズンからラツィオでプレーする鎌田大地についても、「ラツィオのカマダは60分間ピッチに立った。」

スペイン紙”マルカ”

 「ドイツは困惑、フリックは再び、チームのベストバージョンを取り戻す力を失ってしまった。彼の最近の成績はひどい。」

フランス紙”レキップ”

 「ドイツは日本に圧倒され、ブルーズとの対戦を前に危機的状況に陥っている。」

フランス紙”RMCスポーツ”

 「ドイツ代表はもう何も機能していない。ホームで日本に屈辱を味わった。」

ハンジ・フリック監督解任

 ドイツは来年には欧州選手権(ユーロ)の開催を控えているが、W杯での衝撃的な敗退後も1勝1分け4敗。1985年以来38年ぶりの国際Aマッチ3連敗という屈辱にまみれていた。一向に改善の兆しが見えないことから、試合翌日の9月10日、ドイツサッカー連盟(DFB)はドイツ代表を指揮するハンジ・フリック監督を解任。ドイツ代表が任期の途中で監督を解任するのは123年の歴史の中で、初めて。

写真:Getty Images

 アシスタントコーチ2人の契約解除も発表された。12日のフランス戦は、ルディ・フェラーとハネス・ウォルフ、サンドロ・ワグナーが暫定的に指揮を執る。

 DFBのベルント・ノイエンドルフ会長は「最近の不本意な結果を受け、A代表チームには新たな活力が必要との認識で一致した。自国での2024年欧州選手権を視野に入れ、自信を取り戻さなければならない。私の在任中、最も難しい決断の1つとなった。なぜならば、私はフリックを専門家としても人間としても高く評価しているからだ。しかし、競技面の成功が最優先事項だ。決断は避けられなかった」と説明。

ハイライト

タイトルとURLをコピーしました