“ロストフの悲劇” ベルギーvs日本 ロシアW杯 ラウンド16

ワールドカップ
写真:Getty Images

 2018年7月2日にロシアW杯ラウンド16 ベルギーvs日本がロシアのロストフ・アリーナで行われた。

 日本は、コロンビア、セネガル、ポーランドとのグループリーグを1勝1分1敗で勝ち点、得失点差、総得点でセネガルと並んが、フェアプレーポイントの差でH組2位となり、2010年大会以来の決勝トーナメント進出を決めた。

 一方のベルギーはベスト8入りした2014年ブラジルW杯に続いての決勝トーナメントの舞台に、センターバック1人を除いて、快勝したグループステージの1、2戦と同じメンバーを起用。そのうちロメル・ルカク、エデン・アザール、ケビン・デ・ブライネら8人はグループステージ最終のイングランド戦をベンチで過ごしてラウンド16を迎えた。

スターティングメンバー・試合結果

 ベルギーとのベスト8進出を懸けた試合は、一進一退の攻防で0-0のまま前半を折り返した。

 後半に入ると一気にゲームが動き出す。

 日本は48分、柴崎岳のスルーパスに原口元気が走りこみシュートフェイクを入れて右足を振り抜き、ファーサイドに自身W杯初得点となる先制ゴールを突き刺した。

 日本は52分にもゴール正面でセカンドボールを拾った香川真司がタメを作ると乾貴にパス。そのまま、約23メートルのロングシュートを決めて2点差に。

 この得点で乾貴士は、稲本潤一(2002年日韓W杯で2得点)と本田圭佑(2010年南アフリカW杯で2得点)に続き、日本代表としてW杯1大会で複数得点を挙げた3番目の選手となった。

 初の準々決勝進出を引き寄せたかと思われた。しかし、FIFAランキング3位の強豪が息を吹き返す。ベルギーのロベルト・マルティネス監督は、2点を追う65分にフェライニとシャドリを投入。その直後の69分にフェルトンゲンがヘディングで1点を返した。

 このヘディングシュートは20ヤード(約18.3メートル)の距離から決められた。統計が記録され始めた1966年以来、W杯におけるヘディングでの得点で最長距離のゴールとなった。

 さらに74分には、アザールのセンタリングをフェライニが同点弾となるチーム2点目を決めた。

 後半アディショナルタイムの90+4分には、本田圭佑の左コーナーキックを難なくキャッチしたクルトワのスローイングから高速カウンター。

 ケビン・デ・ブライネがドリブルで持ち込み、右サイドを駆け上がったトーマス・ムニエを経由し、中央にグラウンダーのクロス。

 ゴール正面に飛び込んだロメル・ルカクがフィニッシュするかと思われたが意表をつくスルー、最後は飛び込んできたシャドリが値千金の逆転弾を決めた。

 ロメル・ルカクはベルギー代表での最近11試合で17得点を挙げていたが、この時はシュートしない決断が逆転弾へと繋がった。また、クルトワがボールをキャッチしてから日本のネットを揺らすまで、わずか14秒の超高速カウンター弾となった。

 直後にタイムアップの笛が鳴り、ベルギー代表”レッド・デビルズ”が3-2と逆転勝利を収めた。

 この勝利により、マルティネス監督の就任初戦となった2016年9月のスペイン戦以来、チームは無敗、W杯2大会連続で準々決勝に進出。

 また、ベルギーは1966年イングランド大会でポルトガルが北朝鮮を下して以来の、W杯決勝トーナメントで2点以上の差をつけられた状態から90分以内に勝利したチームとなった。

ベルギースコア日本
0 – 148分
原口元気
0 – 252分
乾貴士
69分
ヤン・フェルトンゲン
1 – 2
74分
フェライニ
2 – 2
90+4分
ナセル・シャドリ
3 – 2

両監督の試合後コメント

ベルギーのロベルト・マルティネス監督

 試合に振り回された。日本を祝福しよう。日本は完璧な試合をした。カウンター攻撃は有効で、非常に堅実だった。我々の個性が試され、交代選手が試合の勝利を呼ぶいい反応を見せてくれた。この勝利が選手たちの団結について全てを物語っている。

 今日の試合に後ろ向きなことはない。勝ち上がれたのだから。選手たちをとても誇りに思える日だ。ベルギーを信じ続ける。W杯では完璧を求めなければならないが、ともかく次に進めた。勝てたんだ。

日本の西野朗監督

 結果は残念。追い詰めたけれど、勝ち切れなかった。ベルギーとの差は非常にわずかにあるのかもしれないが、試合中はほとんどないと感じていた。

 それは監督としての私の采配なのか、まだまだ本気になったベルギーに及ばなかったのか。

 認めたくないゲームだった。悲劇だという感覚は強くあるが、敗戦と言う事実を認めないといけない。

ロストフでの“ベストゲーム”

 W杯公式が発表した、ロストフでの“ベストゲーム”投票結果

ベルギー×日本 68.8%
ブラジル×スイス 12.2%
韓国×メキシコ 11.6%
アイスランド×クロアチア 7.3%

ハイライト

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