チャンピオンズリーグラウンド16・セカンドレグが3月12日に行われ、アトレティコ・マドリードとレアル・マドリードが対戦した。リーグフェーズで5勝3敗を記録し、勝ち点「15」の11位でプレーオフに進んだレアル・マドリード。マンチェスター・シティとの大一番を制した前回大会王者は、同じ街に本拠地を構えるアトレティコ・マドリードが待つラウンド16へ駒を進めた。迎えたホームでのファーストレグは2-1の白星を収めて先勝。準々決勝進出を目指し、運命の“マドリード・ダービー”第2戦へと臨む。
スターティングメンバー

アトレティコ・マドリード(4-4-2)
・GK
ヤン・オブラク
・DF
ヘイニウド(98分:アスピリクエタ)
クレマン・ラングレ(90分:ル・ノルマン)
ホセ・マリア・ヒメネス
マルコス・ジョレンテ
・MF
コナー・ギャラガー(85分:サムエウ・リーノ)
ロドリゴ・デ・パウル(90+4分:ナウエル・モリーナ)
パブロ・バリオス
ジュリアーノ・シメオネ(64分:アンヘル・コレア)
・FW
フリアン・アルバレス
グリーズマン(89分:セルロート)
・監督
ディエゴ・シメオネ
レアル・マドリード(4-4-2)
・GK
ティボー・クルトワ
・DF
フェラン・メンディ(83分:フラン・ガルシア)
アントニオ・リュディガー
ラウール・アセンシオ
フェデリコ・バルベルデ
・MF
ジュード・ベリンガム
ルカ・モドリッチ(65分:ルーカス・バスケス)
オーレリアン・チュアメニ(65分:カマヴィンガ)
ロドリゴ(79分:ブラヒム・ディアス)
・FW
キリアン・エムバペ
ヴィニシウス・ジュニオール(115分:エンドリッキ)
・監督
カルロ・アンチェロッティ
試合結果
敵地での1stレグを1-2の敗戦で終えたアトレティコ・マドリード。さらに、先週末のリーグ戦ではヘタフェとのアウェイゲームを、後半終盤の連続失点によってまさかの1-2の逆転負け。厳しい公式戦連敗となった。逆転を目指したホーム開催の大一番では先発2人を変更。ガランとリーノの左サイドをテコ入れし、ヘイニウド、ギャラガーを起用した。 一方、3点目こそ奪えなかったもののホームで先勝に成功したレアルマドリード。先週末のリーグ戦でも難敵ラージョとのホームゲームを2-1で競り勝ち、良い形で敵地へ乗り込んだ。アンチェロッティ監督は前回対戦から先発2人を変更。カマヴィンガとブラヒム・ディアスに代えてモドリッチとサスペンション明けのベリンガムを起用した。
試合は開始直後の27秒にアトレティコ・マドリードがスコアを動かす。キックオフからパスを繋ぎ始め、最終ラインから前線にロングフィード。一度は相手にクリアされるが、こぼれ球をアントワーヌ・グリーズマンが回収して再び攻撃に転じる。テンポの良いパス交換で前進し、フリアン・アルバレスが右サイドに展開。ロドリゴ・デ・パウルの折り返しを最後はコナー・ギャラガーが合わせ、幸先よく先制に成功した。
Gallagher inside 30 seconds! 🤯#UCL pic.twitter.com/IaPAqHuDAo
— UEFA Champions League (@ChampionsLeague) March 12, 2025
以降はレアル・マドリードが支配率を高めて相手を押し込むが、アトレティコ・マドリードも粘り強い守備と鋭いカウンターで対応。戦前の予想通り守備の時間が大半を占めるものの、シュート本数では相手を大きく上回るなど巧みにゲームをコントロールしていく。 レアル・マドリードの攻撃が停滞するなか、アトレティコ・マドリードは25分にチャンスを作り出す。自陣左サイドでのフリーキックからキッカーがロングパスを供給。アントニオ・リュディガーが頭で跳ね返したボールをアルバレスが拾い、自らドリブルでボックス内に運びつつ左足を一振り。強烈なシュートは枠を捉えたが、古巣戦となったGKティボー・クルトワに弾かれてしまった。39分にもジュリアーノ・シメオネのラストパスからアルバレスがポケットに侵入。右足でニアを狙ったものの、再度GKクルトワがセーブする。前半はアトレティコ・マドリードの1点リードで終了し、勝負はハーフタイムに突入した。
後半も前半と同様の展開のまま時間が経過。そんななか、69分にレアル・マドリードの高速カウンターが炸裂する。自陣ボックス内でエドゥアルド・カマヴィンガがボールを奪取。ヴィニシウス・ジュニオールを経由してピッチ中央のジュード・ベリンガムにパスがわたり、最前線のキリアン・エンバペに素早く繋ぐ。得意のドリブルで2枚のDFを翻弄し、クレマン・ラングレに倒されPKを獲得。しかし、キッカーを務めたヴィニシウスのキックは枠を外れ、決定機を逃してしまう。
セカンドレグの90分間は1-0でタイムアップ。2戦合計2-2で両チームは延長戦に臨むことになった。白熱の一戦は120分間でも決着つかず。
勝敗は延長戦に委ねられる。続々とキックを成功させていくなか、アトレティコ・マドリードは2人目のアルバレスがスリップ。ボールに2度触れてしまったため、失敗と判定される。4人目はルーカス・バスケスがストップされたものの、マルコス・ジョレンテのキックも枠外へ。最後はリュディガーが決め切り、レアル・マドリードが勝ち抜きを決めた。準々決勝・ファーストレグは来月9日からスタートする。
アトレティコ・マドリード | スコア | レアル・マドリード |
---|---|---|
1分 コナー・ギャラガー | 1 – 0 (2戦合計スコア 2 – 2) |
PK戦
スペイン首都決戦は前日のリバプールvsパリ・サンジェルマンに続き、ラウンド16で2試合目のPK戦決着となった。レアル・マドリードが先攻、アトレティコ・マドリードが後攻となったPK戦では軸足が滑って2度蹴りの形でアトレティコの2人目アルバレスが失敗。レアル・マドリード4人目のバスケスがGKオブラクのセーブに遭い、1人ずつが失敗となったなか、アトレティコ・マドリード4人目のジョレンテのシュートがクロスバーを叩いて2人目の失敗に。そんななか、レアルマドリード5人目のアントニオ・リュディガーのシュートはオブラクに触られたものの、勢いを失わずにゴールネットを吸い込まれた。
マドリード・ダービーをPK戦の末に制した前回王者レアル・マドリードがアーセナルの待つベスト8進出を決めた。
UEFA声明
「アトレティコ・マドリーは、チャンピオンズリーグのレアル・マドリー戦の終盤にフリアン・アルバレスによって蹴られたペナルティキックが認められなかった問題についてUEFAに問い合わせた」と綴り、「わずかではあったが、動画でも確認されるように選手はボールを蹴る前に軸足にボールを当てた。規則に基づき、VARはゴールが認められるべきではないという判定を出さざるを得なかった。UEFAはFIFAとIFABとともにダブルタッチが明らかに意図的ではない場合の規則を見直すべきかどうかを判断するために協議を行う」
アトレティコ・マドリード | PK | レアル・マドリード |
---|---|---|
0 – 1 | ○ キリアン・エムバペ | |
○ セルロート | 1 – 1 | |
1 – 2 | ○ ジュード・ベリンガム | |
× フリアン・アルバレス | 1 – 2 | |
1 – 3 | ○ フェデリコ・バルベルデ | |
○ アンヘル・コレア | 2 – 3 | |
2 – 3 | × ルーカス・バスケス | |
× マルコス・ジョレンテ | 2 – 3 | |
2 – 4 | ○ アントニオ・リュディガー |
Real Madrid beat Atleti on penalties!#UCL pic.twitter.com/UyrD4WOz82
— UEFA Champions League (@ChampionsLeague) March 12, 2025
コメント
ディエゴ・シメオネ監督
「強さと努力にあふれた素晴らしい試合をした。素晴らしい選手が揃ったチームをうまくコントロールできた」
「今日あそこにいた選手たちは、以前にはいなかった。オブラクはそうだったが、それで判断するものではない。私たちはとてもいい試合をしたし、信じられないほど競り合った。延長戦ではもっとスコアを伸ばせたはずだ。どうやら主審はフリアン・アルバレスがボールに触ったと言っているようだが、ボールは動いていない。シュートアウトでVARがPKをレビューするのを見たことがない。でも、選手たちを誇りに思う。私たちは彼らを倒すことはできなかったが、彼らは嫌な時間を過ごした。彼らは 『こいつらにはいつも苦労させられる』と思っているはずだ」
さらに、指揮官は「このチームを誇りに思う」と語り、不運について問われるとこう回答した。「運の話ではなく、今いるチームに誇りを感じ、常に競争する方法について話すよ。それは、クラブで経験したこのプロセス全体を通して歴史に残るだろう」
カルロ・アンチェロッティ監督
「試合は難しく、開始1分で失点したことでさらに難しくなった。その後、相手は守備に回り、我々のバランスを崩してカウンターアタックを仕掛けてきた。優先すべきことは、効果的なボール保持を維持し、状況を再び難しくしないことだった」「試合は互角で、アトレティコは最高の守備チームのひとつだ。彼らは守備もハードワークも素晴らしく、我々はムバッペの素晴らしいプレーでPKを得たが、PK戦まで均衡していた。我々は最高の選手ムバッペを最初のPKに投入し、最後のPKはシティ戦で得点したリュディガーが担当した」
「私は優先すべきことをうまく説明しようとしたが、不意を突かれて不必要なボールを失って試合を複雑にすることではなかった。彼らが2-0で得点していたら、試合は複雑になっていただろう。延長戦の後半では、その点では我々の方が優れていた。我々は常に改善点を探して取り組む必要がある。この試合では、優先事項はすでに説明した。我々は得点する必要があったが、この対戦において一度もビハインドに陥ったことはなかった」
「私たちがこの疑問に気づいたときには、既ににVARによって検出されていた。これに気づかなったよ。私はアルバレスを見たが、彼はセカンドタッチを左足でプレーしているようには思えた」
「PK戦で何が違いを生むのか、私には全くわからない。できるだけ冷静な選手を選ばなければならない。あとはコイントスのようなものだだ。そして、我々はコイントスで勝った。アトレティコは最高のプレーを見せたし、例え敗れたとしてもこの大会を自信を持って終えることができたし、私自身も安心して受け入れたはずだ。コイントスなら待つしかないが、結果は勝利だった」「5人目はリュディガーとエンドリッキのどちらにするか迷った。エンドリッキの顔を見て、私はリュディガーを選んだ」
ティボー・クルトワ
「ダブルタッチしたように感じたから審判に伝えた。見ていて辛かったし、相手にとっては不運だった」
一方で試合後の会見でディエゴ・シメオネ監督がダブルタッチによるPK失敗と下した審判団の判定に納得していないことには辟易としていた。 「こういうことでいつも泣き言を言うような被害者意識にはうんざりだ。審判はスペイン人ではないし、特定のチームに利益をもたらしたいわけではない。彼らははっきり見抜いてそのように判定した。テクノロジーのおかげではっきりと見抜いた。そもそも開始1分でゴールを奪ったのに2点目を狙わなかった彼らのプレーに問題がある」
ロドリゴ
「僕はチームメイトと一緒にベンチで彼(アルバレス)を見ていて、ボールが彼のスパイクから出てくる様子がとても奇妙で、まるでボールに2度触ったかのようだったんだ。 それで騒ぎになった。僕たちの後ろにカメラがあって、みんなは『2タッチ、2タッチ』が伝えたと叫び始めた。そして僕たちは審判にプレッシャーをかけ始めたんだ。審判はそれを見て、『確かに2タッチだった』と認めた。こんなことはいままで見たことがないよ」